2012年07月15日

証券ディーラー「プロの視点」苦境の家電量販店 本当のライバルは?

7月12日、家電量販店最大手のヤマダ電気<9831>が、業界第8位のベスト電器
<8175>を買収すると報じられました。

この報道を受けて、12日のベスト電気は一時前日比+18.8%の急騰。ヤマダ電
気の株価も場中は堅調な動きをみせました。

ちょうど2カ月前の5月11日には、業界第5位のビックカメラ<3048>が同6位
のコジマ<7513>を買収する、と発表したばかり。

再編必至と騒がれ続けてきた家電量販店業界が、ここにきていよいよ動きを強
めています。
───────────────────────────────────
         ■ 〜 家電量販店業界を現在 〜 ■        
───────────────────────────────────

それでは、現在の家電量販店業界の全体図をみてみましょう。

1位 ヤマダ電機<9831>
2位 エディオン<2730>
3位 ケーズHD<8282>
4位 ヨドバシカメラ<非上場>
5位 ビックカメラ<3048>
6位 上新電機<8713>
7位 コジマ<7513>
8位 ベスト電器<8715>
9位 ノジマ<7419>


以下は2012年の売上高です。


ヤマダ電機(1兆8000億円)
エディオン(7500億円)
ケーズHD(7200億円)
ヨドバシカメラ(約7000億円)
ビックカメラ(6100億円)
上新電機(4200億円)
コジマ(3700億円)
ベスト電器(2600億円)
ノジマ(2100億円)


ヤマダ電機の圧倒的な強さが伺えます。さらに今回の買収によって、連結売上
高は2兆円を超えますから、


───────────────────────────────────
       ■ 〜 ヤマダのベスト買収 2つの不思議 〜 ■
───────────────────────────────────

今回のヤマダによるベスト買収。実は業界内では意外だという声が多かったよ
うです。その理由は2つ。

(1)なぜ、ベストはビックから離れたのか?

実は、ベスト電器は過去にヤマダ電機との業務提携を拒み、ビックカメラに対
する第三者割当増資を実施しています。

今回のヤマダによる買収が実施される前の時点で、ベスト電器の筆頭株主は、
ビックカメラ。ヤマダ電機は第2位の株主です。

2007時点で、ベスト電器の筆頭株主はヤマダでした。しかし、ベストはビック
との業務提携を選択。先日までは、ビック・コジマ・ベスト連合として語られ
ていたのです。


(2)同業の買収には興味がなかったのでは?

圧倒的な売上高を誇るヤマダ電機は、これ以上の拡大路線を取らない、という
のが多くのアナリストの見解でした。

事実、ヤマダ電機は家電製品と密接なかかわりを持つ「住宅」との結びつきを
強める方針を取ってきており、2011年10月には住宅メーカーのS×L(エス・
バイ・エル)を子会社化。今年5月には住宅設備メーカーのハウステックHD
を買収しています。


つまり、家電以外の事業に活路を求め始めたヤマダが、一度は振られたベスト
の買収に乗り出し、さらにビックとの連携を切ってまでベストはそれに乗った
ということなのです。

───────────────────────────────────
       ■ 〜 M&Aに積極的なエディオン 〜 ■
───────────────────────────────────

ベスト電器の買収によって、ヤマダの売上高は2兆円に到達。第2位のビック
・コジマ連合の売上高は9800億円ですから、2倍以上の大差ということになり
ます。

こうした中で、単体で業界第2位、西日本地盤のエディオンの動きに注目が集
まっています。

今年5月、エディオンは地方によって分かれていた店名を「エディオン」に統
一することを発表。10月1日から九州・中国・四国地方の「デオデオ」、近畿
地方の「ミドリ」、中部地方の「エイデン」、関東の「イシマル」など直営店
の名称が「エディオン」に統一されることとなりました。

量販店上位の中で、最もM&Aに積極的なのはエディオンだとみられています。
過去にベスト電器の買収に乗り出したこともありますし、ビックカメラが2007
年にヤマダの買収から逃れるために提携を結んだのもエディオンでした。

結局、ベストはビックと業務提携(最終的にヤマダになりましたが)、ヤマダ
から逃れるために提携したビックは、エディオンの傘下になってしまうことを
警戒し、結局統合を白紙としてしまいました。

単体で業界第2位ではあるものの、東日本での知名度は低く、規模が大きいた
めに他社から警戒されM&Aが進まない。ここ数年のエディオンはこのような
状態が続いています。

しかし、ビックとコジマの提携によって、グループとしては第3位となってし
まったため、おそらくエディオンは残っているいずれかの企業と連携を図るこ
とでしょう。

───────────────────────────────────
        ■ 〜 静かな高収益ケーズデンキ 〜 ■       
───────────────────────────────────

では、業界3位のケーズデンキとヨドバシカメラはどうでしょうか。

元々都市型のビックやヨドバシ、都市部にも積極的に出店攻勢をかけるヤマダ
などと違い、ケーズデンキがこだわるのは地方の大型店舗。

コストのかかる都市部への出店を避け、地道な成長を目指すケーズデンキは、
他社に比べて利益率も高い。

2012年3月期の売上高営業利益率をみてみると、業界トップのヤマダに並ぶ
高収益率であることが分かる。

ヤマダ電機  4.8%
エディオン  1.2%
ケーズHD  4.7%
ビックカメラ 1.5%
上新電機   3.0%
コジマ    1.0%
ベスト電器  1.0%
ノジマ    0.4%

さらに、前期はほとんどが営業減益となったが、ケーズの下落は小さい。

2012年3月期の営業減益率(ビックカメラは第3四半期)

ヤマダ電機  −27.5%
エディオン  −64.7%
ケーズHD  −16.7%
ビックカメラ −63.1%
上新電機     1.9%
コジマ    −68.8%
ベスト電器  −63.0%
ノジマ    −83.4%


ゆっくり着実な成長を続けるケーズデンキ。2011年3月期まで、創業以来64年
間すべて増収を続けてきた。

しかし、そんなケーズデンキも2012年3月期は、創業以来初の減収となってし
まいました。

posted by ラッシュ at 09:30| Comment(0) | 株式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。